親が認知症になる前に私がやっておいたこと その1

皆さんは、離れて暮らす親とこまめに連絡を取り合っていますか?

定期的に電話で話したり会いに行ったりすることで、親の小さな変化に気が付くことができるものです。特に一人暮らしをする高齢の親の場合には、認知症の症状が出始めていないか、注意深く観察する必要があるでしょう。

私には80歳超の両親と姉がいます。両親は今のところ元気で認知症にはなっていないのですが、そろそろ両親の相続対策をしなければいけないな、と私が重い腰を上げ始めた所です。

それでは、最近行った相続対策の話をしていきますね。

もしも親が認知症になったら、親の家はどうなる?

私の両親は約30年前に離婚し、以降は二人とも一人暮らしをしています。現在、母は賃貸マンション、父は分譲マンションに住んでいます。

今回、私が相続対策として利用したのは「相続時精算課税制度」です。
「相続時精算課税制度」とは平たく言うと、親から子へ財産を贈与した時に2,500万円までは贈与税がかからない制度です。

父が元気なうちに娘の私に自宅を「贈与」し、所有権を移転しておきます。これは相続対策であると同時に、認知症対策でもあるのです。父が認知症になると適正な判断をすることが難しくなるため、あらゆる契約手続きができなくなる恐れがあります。

例えば、父の認知症が進行して一人暮らしが難しくなり、老人介護施設に入居したとしましょう。自宅マンションは空き家になりますので、娘としてはこれを売却あるいは賃貸に出し、その収益を父の介護費用に充てたいところです。しかし父は認知症のため、不動産をどう処分するのかを自分では決められません。

私が娘だからといって、父のマンションを勝手に貸したり売ったりすることはできません。なぜならばマンションは父の所有物だからです。
父がそこに住んでいなくても固定資産税や管理費・修繕積立金などが発生しますので、介護費用に加えてそれらも娘の私が負担することになりかねません。これは、親の不動産だけでなく、預貯金も子どもが勝手に引き出して納税資金などに充てることができないためです。

しかし、父が認知症になる前にマンションの所有権を娘に移しておけば、父が認知症になったとしても、私の意思で父のマンションを人に賃したり、売ったりすることが可能になるのです。よって、この収益を介護費用に充てることができます。

では、このような対策をせずに親が認知症になると、親名義の不動産は動かせなくなってしまうのでしょうか。答えは「No」です。

親が認知症になってしまった場合、「成年後見制度」を利用すれば不動産の契約手続きを行うことが可能です。ただし、成年後見人は家庭裁判所が選任しますので、弁護士や司法書士などの専門家になることが多いのが現状です。つまり、家族が必ずしも後見人になれるわけではないのです。

私の父に後見人を付けたとしましょう。後見人の仕事は父の財産を守ることですので、マンションを賃貸契約に出したり、売却をしたりすることが父にとって不利益だと判断されることもありえます。これはどういうことかと言うと、もし父の認知症の程度が軽くなって介護施設を退去し、自宅へ帰りたいと言い出した場合に自宅がないと困るだろう、と後見人が判断するかもしれないのです。

もし、マンション売却が父のためになると後見人が判断しても、適切な時期や価格で売却してもらえる保障もありません。残念ながら、成年後見制度はまだまだ使い勝手の悪い制度なのです。

 

親が認知症になる前にやっておきたいこと

親に認知症や終活の話を切り出したら、露骨に嫌な顔をされた、または怒られたあげくに喧嘩になってしまった、という人もいるのではないでしょうか。

人は大体、自分が認知症にならない、なりたくないと思っています。私もそうです。一方で、できるだけ子どもに経済的な負担をかけたくない、と多くの高齢者が口を揃えて言います。

そうであるならば、「テレビでこんな話を観たんだけどね…」というように実例を出してみて、「お父さんお母さんが元気な今のうちにできることを、私と一緒にやってもらえないかな?」とお願いしてみましょう。

親が認知症になる前の元気なうちに積極的にやっておきたいことは、親名義の資産の洗い出しです。これにはエンディングノートをなど使って、「〇〇銀行✕✕支店 定期預金」「△△保険の医療保険」というように記録しておくのが良いでしょう。ノート1冊に資産情報をまとめておけば、一目瞭然です。

その際には、尋問にならないように雑談しながら、なぜその資産を準備したのか。自宅購入時の親の願いや思い出なども聞いてみると、スムーズに進むかもしれません。

不動産が複数人の共有名義になっていないかの確認も行い、必要であれば税理士、司法書士、FPなどの専門家に相談して対策を講じましょう。

実際に親が認知症になって、不動産や預貯金を全く動かせずに困っている人たちが沢山います。親が認知症になるのは、多くが70~80歳以降です。その頃、子どもの年齢は40~50代。自分たちは住宅ローン返済や子どもの教育費に追われ、親の介護費用捻出まで手が回らないというのが実状です。

親が認知症になる前にできる限りの対策を行っておけば、親子とも精神面や経済面で不安が緩和されます。

人は皆、必ず老いていきます。ひとごとと思わず、家族全員が自分ごととして考えたいですね。

次回以降のブログでも、相続時精算課税制度を利用したことでどうなったのか。他にどんな対策を行っていく予定なのか。姉との話し合いや、母の相続対策はどうするのか、など順次報告をしていきます。

 

page top