保険を貯蓄代わりに使うのはやめよう

FP相談で、毎回必ずと言っていいほど受けるのが
保険の見直しの依頼です。

その中でも特に目立つのが、「低解約返戻金型終身保険」など
貯蓄型保険に関する相談です。

「これって、このままかけ続けていいのだろうか?」と
モヤモヤした気持ちを抱いて相談にお越しになるお客様が多いのです。

今回は、「保険と貯蓄は切り離した方が良い」というお話をしていきますね。

 

途中解約をすると、元本割れする商品が多い

お客様に、「この貯蓄型保険に加入された目的は何ですか?」とたずねると、
異口同音に「普通預金より増えると販売員から説明されたので」や
「銀行に預けておくよりマシだから」というような答えが返ってきます。

果たして本当にそうなのでしょうか。

現在、多くの銀行は普通預金の金利を0.001%としています。
ゼロに等しいような低金利なので、利息が増えることは期待できませんが、
預け入れ後に元本が減ることは通常ではありません。

一方の低解約返戻金型終身保険。
こちらは、加入時に定められた払い込み期間が完了する前など、
契約期間の途中で解約をすると、ほとんどの商品が元本割れをします。

預貯金代わりと思って契約したのに、途中解約をすると
支払った元本(支払い保険料総額)を下回ってしまうのです。

商品内容・各人の保険金額や保険料にもよりますが、
加入期間が長い保険ですと、加入後30年以上が経過しないと
元本を回収できないものもあります。

先日のお客様の場合(40代)は見事にこのケースに当てはまり、
加入後30年経ち、ご本人が70歳頃になってようやく、
解約した時に戻るお金と元本が同額になるというものでした。

つまり、加入後30年以上もの間ずっと元本が割れ続けるのです。

加入目的はご本人の死亡保障ではなく、「子どもの学費」ということでしたが、
ご本人が70歳の時、お子様は既に40歳になっています。

「あれ?なんか変じゃない?」

保険加入後、数年が経過してからそのことに気が付き、
私の事務所に相談に来られたのでした。

これならば、銀行の普通預金に預けておいた方が良かったよね、
という話です。

 

保険と貯蓄は切り離して考える

そもそも生命保険の役割とは、「起きる確率は低いけれども、
起きてしまうと経済的損失が大きいこと」へのリスク対策です。

よって、貯蓄代わりに保険を利用することは
本来の趣旨から外れてしまうのです。

ひと昔前は、元本を上回る魅力的な保険があったことも事実です。
けれども時代は大きく変わりました。
貯蓄型保険を利用することは、長期間に渡るお金の拘束で
自由に解約できないばかりか、お金が増えることもほぼ望めないのです。

保険と貯蓄は切り離して考えることが大切です。

もし死亡保障が必要な場合には、保険料が安い掛け捨てタイプの
「収入保障保険」を選ぶと良いでしょう。

 

まとめ

貯蓄型保険でお金を増やす時代は、とっくの昔に終わりました。
「保険」と「貯蓄」は切り離して考えましょう。

販売側のうたい文句を鵜呑みにせず、商品内容がよく理解できない時には
契約手続きを見送ることが大切です。

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