映画『老後の資金がありません!』を観ました

『老後の資金がありません!』を観ました。(ネタバレ注意)

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老後2,000万円問題は自分事として捉えられるか?

2019年に広く物議をかもした「老後2,000万円問題」

その数字が脳内に強烈に刷り込まれ、自身の老後資金準備に
少なからず不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

映画館に足を運んでみると、平日の昼間ということもあってか
観客はまばら。年齢層はかなり高めで、まさに「老後生活の真っ只中」
という方々の比率が高かったように思います。

まずは当時者の自分たちが映画を観てみて、現役世代の子どもたちに
内容の是々非々を伝える意気込みなのかもしれません。
あるいは、インパクトあるタイトルに惹かれ、その内容と自分の生活を
照らし合わせてみる目的があるのかもしれませんね。

 

主人公夫婦を次々と悲劇(?)が襲う

オレオレ詐欺、非正規雇用の子ども、授かり婚など
今時の世相を映した事象が散りばめられたストーリー。

親の葬式費用の支払い、親子間・兄妹間の確執、年金不正受給、
50代で直面する失業など、次から次へと「想定外の」できごとや
高額な出費が一家を襲います。
さらに同居する自由奔放な姑が、主人公の篤子(天海祐希さん)を
翻弄していきます。

不運が重なると、どうしても気分は沈みます。
しかし、家族や友人とともにたくましく逆境を乗り越えていく
主人公の姿が、ユーモラスを交えながら明るく描かれています。
さらに、夫役の松重豊さんのとぼけたキャラクターのお陰で
ほど良い脱力感があり、あまり深刻にならずに済んでいるようにも見えます。

映画だから軽いノリで作ってるんでしょ、と言ってしまえばそれまでですが、
もともとの性格が楽観的な人は、そもそも苦労を苦労と思わないところが
あるのではないでしょうか。

ネット情報によれば、姑役の草笛光子さんの実年齢は88歳。
さすがは息の長い大女優。容姿、ふるまいともに洗練されていて優雅そのもの。
とても88歳には見えません。
ひょっとしたら、彼女にも楽観的なところがあるのかもしれません。
でないと、こんなに高齢でありながら現役生活を続けることは
難しいと思うのです。

「人生100年時代」に突入し、誰もが長生きをするリスクを抱えていますが、
草笛さんのように生涯現役で活躍できたら、本当にカッコいいし、
憧れますね。
働き続けるので労働収入が途切れず、老後に生活費が不足するという
不安からも解放されます。

さすがに女優をやりたい、とは言いませんが、自分の仕事を
可能な限り細く長く続けていきたい、という決意を持つことができました。

さらに作品の脇を固めるのは個性的な俳優陣。
柴田理恵さん、毒蝮三太夫さん、三谷幸喜さんなどの演技力が
いかんなく発揮され、物語を盛り上げます。
毒蝮さんの「どいつもこいつも金の話ばかりしやがって!」
というセリフには、思わず「ハッ!」となりました。

お金よりも大事なものとは

確かに、長い老後に備えたお金の準備は大事です。
特に40-50代以降は、計画性を持って備えておくことが
必要不可欠なのも理解している。
けれども、それが全てではないのだと映画は語りかけてきます。

家族や友人、知人との良好な関係性があってこそ、
より充実してくるのが人生の後半戦。
あなたがどうしようもなく困った時に、助けてくれる人が
周りにいるかどうかが、お金よりも大切なことなのです。

人生には予期せぬ出来事はつきもの。
それらに直面した時に、柔軟に対応できるしなやかさを
持ち合わせていれば、大抵のことは乗り切れる。
お金のことばかりに執着せず、不安をあおる情報に振り回されることなく、
肩の力を抜いて行こうよ。
この映画からはそんなメッセージが聞こえてきました。

笑って、そしてほろりとさせてくれる映画です。

 

 

 

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